ストマで行く新幹線の旅

凄く久しぶりに新幹線で旅をしました。今回は東北新幹線で仙台です。東北新幹線やまびこ

仕事の関係もあって、旅は自家用車か飛行機が多いので、新幹線はあまり乗りません。東北新幹線は15年ぶりくらいです。あの頃はまだ手術前でした。
だいたい鉄道の旅はオストメイトには結構辛いものがあります。いつも大は満員の狭くて汚い駅のトイレ。新幹線はいいのですが、そこに至るまでの満員電車や、結構な距離の徒歩移動。トラブる要素が満載です。

とは言うものの、最近ストマの調子もいいことですし、自家用車で行って雪になるのも大変なので久しぶりに挑戦。

障害者割引の切符永久人口肛門保持者は大抵4級の障害者手帳をお持ちのはず。それを使えばJRの切符が障害者割引になります。
割引になるのは乗車券のみで、それが半額になります。特急料金や最初から割引になっているものは対象外です。
今回の場合は東京から仙台までの乗車券が半額の2,970円、それに特急指定席が4,750円で7,720円。通常ですと1万円ちょっとなので、全体で3割弱の割引になります。
えきねっと」で席の予約や席指定をする事もできます。この場合は少し注意が必要です。先ほど書いたように障害者割引は乗車券のみにしか使えません。ですので予約時には指定席券のみを申し込んで下さい。そして受け取りは「みどりの窓口」か「びゅうプラザ」で行ないます。乗車券はその時に障害者手帳を出して購入します。みどりの窓口は混んでいる事が多いのですが、対面でないと障害者割引は使えません。指定席券売機の方が受け取りは簡単なのですが、その理由で我々は使えません。
もうひとつ、「えきねっと」では「トクだ値」という新幹線の割引料金があるのですが、これはあくまでも乗車券と指定席券のパック料金ですので、これの乗車券部分だけをさらに割引には出来ません。従って通常は10~15%割引のチケットですが、乗車券の障害者割引と正規の指定席券を買った方が安くなります。
ただし、「トクだ値」ではごく少数30%以上の割引で売る事があります。この場合は障害者割引を使うより安くなることがありますので、計算してどちらが得かを選択してください。トクだ値を選んだ場合は障害者割引は関係なくなりますので、自動券売機で受け取る事が可能になります。

飛行機に比べるとJRのチケットシステムは遅れていると言わざるを得ません。未だに1ヶ月前の予約しか取れませんし、ネットで予約した切符も(当日でも構わないですが)受け取りに行かねばなりません。我々のような障害者割引を使う場合はわざわざ混んでいるみどりの窓口に並ばねばなりません。
その点飛行機はスマートです。私はJAL、ANA両社のマイレージ会員ですが、予め会員情報として障害者手帳の番号を登録しておけば、通常料金と同じようにネットでチケットを購入できます。JRも早くそうなればいいんですけどね。

仙台駅の多目的トイレまあ新幹線車内のトイレは昔に比べればずいぶんと綺麗に現代的になりましたが、ウォシュレットが付いているわけでもなく、ましてやオストメイトトイレはこの先も付く事は無いでしょう。以前書いたような簡易ウォシュレットのようなものがあると便利で清潔です。
また、大きな駅には最近の公共スペースの例に漏れず、オストメイト設備が整いつつあります。写真は仙台駅の新幹線改札口内にある多目的トイレです。非常に清潔で帰りの電車に乗る前にパウチの洗浄とチェックをするのにありがたかったです。

今回一人旅で一番問題だったのは、行き帰りともに窓際の席を取ったのですが、隣人に恵まれず、自分の前に荷物を大量に置いて「とおせんぼ」されちゃいました。これではトイレに行きたくとも気が引けて行きにくいです。本人は悪気は無いのでしょうが、ちょっと困りました。やはり窓際は諦めて通路側の席を取るべきでした。

一週間前採血

私の行っているM病院では予約診察の一週間前に採血を受けねばならないと言う面倒な手続きがあります。昔は普通に診察後に採血を受けて、その結果を次の診察日に聞くと言う手順だったのが、数年前から一週間前に採血してから診察日にその結果を聞くと言う方式に替わりました。
まあ。私のように診察日が2ヶ月も空いてしまう患者などは、2ヶ月前の検査結果を聞くよりも一週間前の方が正確な診断が出来るでしょうし、理に適っていると言えるのですが、私のような自営はいざ知らず、会社にお勤めの方などは2週に渡って仕事に都合をつけねばならず、相当に負担が大きいのではないかと思います。

img_1544そうした一週間前採血なのですが、今回はちょっと特別です。手術での輸血後3ヶ月を過ぎたので、「輸血後感染症検査」を併せて受けねばなりません。B型、C型肝炎やHIVの感染の有無を血液検査で調べます。以前はこんなの無かった気がしましたが、法律が変わったのでしょうか。14年前の手術後はとにかく肝炎の感染が多かった時期でしたので不安がありましたが、無事に済んだようです。今回も輸血しましたので、ちょっと心配です。かなり輸血用血液の検査は厳密に行われるようになったと聞くので、それほど心配する必要は無さそうですが、結果が出るまでは少し不安な日々になりそうです。

本来は手術を受けたH病院で受けねばなら無いのですが、系列病院なのでM病院でもいいと言われていました。一回で済む採血を2ヵ所で別々に受けるのも面倒ですし、第一痛い思いは出来るだけ少なくしたい。でも実際に行くとH病院に確認を取ったりでそれなりに面倒でした。さて一週間後、結果はどうでしょうかね。

人口肛門と温泉

先日、いや~なニュースを見てしまいました。

入浴理解を 支援団体、公衆浴場拒否でチラシ

私自身は長い間2孔ストマで、肛門から便漏れがあった為に温泉や大浴場などの利用は控えていました。しかし1孔ストマの人がこのような目にあうとは少々驚きでした。

確かに普通の方から見ると、大きな傷口もグロテスクですし、得体の知れないビニールの袋がお腹に付いているのは、何も知識のない方にはぎょっとされると思います。
もちろん、浴場や温泉でパウチを外して洗浄などは、私からしても論外で迷惑この上ない行為だと感じますが、床やお湯を汚さない限りは何の非難される言われも無い筈です。

このような目に会わない為にもむき出しのパウチは控えた方がいいですね。1孔ストマになるので、私も温泉旅行やビーチリゾートを楽しみにしているのですが、さすがにパウチむき出しで他人の目に触れるのは抵抗があります。拒否されずとも好奇心からじろじろ見られることもあるでしょう。子供などは興味津々なんじゃ無いでしょうかね? 「あのおじさんのおなかにへんなものがついてる!」って大騒ぎされるのも困ります。
しばらく前から何か良い物は無いかと探していたのですが、今回購入したものが調子良いのでご紹介します。

オストミーシークレット スイムラップ

オストミーシークレット スイムラップ
オストミーシークレット スイムラップ
先日の手術からどうもお腹の中身が下に寄ってしまいさらにデコボコしてるのでこんなです。別にパウチ以外に詰め物をしてるわけではありません。

これはコンバテック・ジャパンで扱っています。多分米国製だと思います。
この手のものは、ストマ・パウチを保護する事と並んで「目立たない」という事が大事だと感じます。他にも海外製のゴムの製品がありますが、水泳で水着のインナーに入れることが前提なのか、やはり目立ってしまいそうなのとラテックスアレルギーがちょっと心配です。
その点この製品は、ベージュを選択すればそれほど目立ちませんし、いい具合にパウチと傷跡を隠してくれます。難を言えば、サイズが小さめでピチピチなので、太った方には最大のLサイズでもちょっと厳しいかもしれません。ウェスト85センチの私でLサイズがぴったりのサイズ感です。90センチまではギリギリいけそうですが、それ以上の方は痩せる事を考えた方が良いかも知れません。でもまあ、ストマにした人って大抵痩せますからね。それを頑張って維持しましょう。オストミーシークレット本社のサイトでは、黒とベージュ以外にも色があり、サイズもXXXLまであるようなのですが現時点でコンバテックの取り扱いが無いのが残念です。
ただの腹巻に見えますが、水着などと同じような素材です。内側にポケットが付いていて、そこにパウチを収めるようになっています。ポケットは左右有ってどちら側のストマにも対応できるようになっています。
先日、ビジネスホテルの大浴場で使ってみましたが、特に何の問題も無く、何か言われる事もありませんでした。パウチがブラブラする事も無いのでいい具合です。これはコンバテックの代理店で購入できます。地域によってはパウチの購入補助が使えますので問い合わせてみて下さい。

苦情を言われないためにもオストメイト側からの自衛が必要ですね。絶対にパンクさせないためにも入浴前にパウチを空に(出来れば部屋のバスで洗浄)してから大浴場へ向かうくらいの気遣いは必要だと感じます。

今年も無事に難病医療券が到着

難病医療券到着
難病医療券到着

一度軽快者に指定されて切られてしまった事があるために、毎年更新の度にヒヤヒヤしています。潰瘍性大腸炎自体が指定難病から外される可能性も年々高くなっていますしね。
今年も無事に来ました。それにしても制度が変わった一昨年(だっけ?)以来、巨大になった医療券。もう少し小さくなるとか、磁気カードになるとか出来ないのもですかね? 以前は無かった管理表だって、このデジタル時代にはいちいち手書きして記載するよりもっといい方法がありそうに思えるんですが。

何はともあれ、今年もどうにか審査に通ったようでほっとしています。

人口肛門で乗る飛行機の旅

止む終えずなってしまった人口肛門(ストマ)生活、最初は散歩で外出するのも漏れるのが心配でしょうが、慣れてくればなんてこともなくなります。最初は自家用車やタクシーから始まって、電車やバスなんてのはまあ楽勝です。フェリーも乗りましたが、特に問題となるような出来事もなく、普通に乗ってきました。ただ、やはり飛行機ともなると少しハードルが上がります。手術後すぐはちょっと厳しいと思います。最低でも半年はストマの具合を見てからの方がいいと思います。
飛行機の最大の問題は、「行きたい時にトイレに行けない」と言う事に尽きます。出発から離陸後しばらくの間と、着陸前からゲートに着くまでは席を立つ事すら出来ません。それ以外でも気流の悪い時などトイレに行けないシチュエーションがありますし、国際便で食事後等はトイレに並ぶ列もできてしまいます。飛行機に限らず、オストメイトは「乗り物に乗る前にパウチを空にしておく」事が鉄則ですが、飛行機に関してはそれを厳格に守らねばなりません。そしてそれほど溜まってなくとも行ける時にトイレに行ってパウチを常時空に近い状態にしておく事で、パンクの危機に会わずに済みますし、それを守ってさえいれば飛行機の旅も恐れることは何もありません。

パウチは出発前日に貼り替えましょう
一度これで失敗したことがあるのですが、パウチを貼り替えてすぐに外出するのは少々危険です。パウチの粘着面は汗などの水分を吸ってより強固に粘着するので、貼り替え後しばらくはそれほど粘着力が強くないのです。直前に貼り替えた私は家を出て移動中に漏れ出してしまいました。従ってパウチは出発前夜に貼り替えるのが最良だと思います。翌朝にはしっかり面板は固着していますし、もし貼り方に不備があっても一晩置く事でそれを発見でき出発前に補修や貼り替えが出来ますので、移動中に漏れたりするなどの最悪の事態に会わずに済みます。
私は旅行時には特に念入りに面板の縁をメディカルテープで補強しておきます。

搭乗前の飲食は控えめに
特にイレオ(小腸)の人には鉄則です。コロ(大腸)の人でも腸の動きが活発になってガスが出て来やすくなるので、大量の飲食は控えた方がいいです。イレオの私は登場数時間前から食事はやめておきます。水やジュースは飲みますが、腸を刺激するコーヒーも飲みません。目的地に着いてから好きなだけ好きなものを食べるためにもここは我慢しておきましょう。コロの人は洗腸という奥の手があるので、それをやっておけばほぼ一日排便を気にせずに済むというイレオの私には羨ましい方法があります。

搭乗直前に必ずパウチを空に
これは鉄則です。手荷物検査が終わって搭乗ゲートまで来てからパウチを空にします。大して溜まってなくとも空にしましょう。搭乗直前であればあるほど望ましいと思いますが、ゲートオープン直前はトイレも混みますのでそれなりにタイミングを見て行って下さい。その後は数十分から下手をしたら1時間以上、気流が悪かったりしたら目的地に着くまでトイレに行けないかもしれないのですから。

席はトイレに近い席を
「もし席で漏れ始めたら」と考えるとトイレに近い席を選択したいものです。最近はネットで航空券を購入すると予約時に席が選択できますので、通路側の席、トイレに近い席を考えて下さい。知人と数人で旅行する場合は窓側の席でもいいですが、一人旅で漏れ始めたパウチを押さえながら、隣の席の人を跨ぐなんて考えただけで震えてしまいます。
団体ツアーや格安航空便で座席指定できない場合でも出発カウンターでオストメイトだと言えば、満席でなければある程度配慮してくれる可能性があります。

替えのパウチは必ず機内持ち込み手荷物に
これも鉄則です。機内でパンクした時に「替えのパウチが預け荷物に入ってる」なんて想像する事すら恐ろしい状況です。パウチ交換用具一式を機内持ち込みできるバッグに入れておきましょう。ただし、ハサミは機内持ち込み禁止物ですので、自分で面板に穴を開ける人は予め穴を開けて持って行きましょう。また、座席上の荷物入れに入れるよりは前の座席下に置く方が、「漏れたパウチを押さえながら背伸びをして荷物を取り出す」というアクロバットをせずに済みます。ハンドバッグやポーチなど小さな手荷物は前の座席下に置けるのでそこを利用しましょう。私は小型のショルダーポーチに一式入れて持って行っています。

機内の飲食も控えめに
国内線はせいぜい飲み物しか出ませんのでいいんですが(空弁? 着くまで我慢ですよ!)、国際線は機内食が出ます。まあこれも旅の楽しみの一つですので、さすがに食べるなとは言いません。ただビールを飲みすぎて酔っ払ったりはやめましょう。特にイレオの人は水分の取りすぎに注意です。あっという間にパウチが満タン、でもベルトサインでトイレに行けない! なんて事にもなりかねません。

トイレは早め早めに
離陸してベルトサインが消えたらタイミングを見てトイレに行きましょう。便が出なくともガスが溜まりますし、それほど溜まっていなくとも空にして、パウチの状況もチェックしましょう。面板の侵食が進んでいないか、剥がれかけていないか、など、不安があったらメディカルテープなどで補強しておきましょう。不安があるからといって漏れ始めていないのに機内のトイレでのパウチ貼り替えはお勧めしません。狭いし水を大量に使えないので、自宅でやるほどうまく出来るとは思えません。上手くできずに状況をさらに悪くする可能性もあります。どうにか凌いで到着地の空港のオストメイト用トイレで貼り替えた方が安全だと思います。
なお、機内トイレにはウォシュレットは付いてないことが多いので(ビジネスクラスはあったかな?)、以前紹介した手動の簡易ウォシュレット等があると便利です。

降下が始まったらトイレに
よほど気流が悪くなければ、今は着陸直前までベルトサインは付かないことが多いですけど、あまり直前だとトイレが混みますので良いタイミングで行っておきましょう。国際線の場合、到着時の入国審査が終わるまでトイレに行けなかったりするので、ここも余裕を持って行ける時に行っておくのが吉です。

目的地に着いたら好きなだけ好きなものを食べて飲んでください。ただし、帰りの飛行機があることも忘れずに。このルールを守れば、大失敗することなく安全に帰宅できると思います。全ては漏れないためにはどうするか、漏れたらどうするかなのですが、私自身はオストメイトになってから国内線国際線合わせて十数往復乗りましたけど、これまで一度も機内で漏れた事はありません。事前準備と早めのトイレさえ守っていれば何も恐れることは無いと思いますけどね。

一応オストメイトが飛行機に乗るときのTips
1)大抵の航空会社の国内便には障害者料金が設定されています。障害者手帳を持っている方は有効に利用しましょう。
2)ハサミは機内持ち込み禁止のはずです。また液体も駄目なことも多いので気をつけてください。
3)最初に乗る前は旅客機は上空でキャビンの気圧が下がることが心配でした。パウチが膨らんでパンクするのではないかと思ったのです。しかし、実際はそんなに気にすることはありません。まったく無問題です。でもガスは溜めずに早めに出しておきましょう。
4)臭いが気になる方は以前紹介したグッズなどを利用してみては。消臭スプレーは国内線では0.5リットル以下であれば持込可能なようですが、機内で噴射できるかどうかは定かではありません。国際線はちょっと規制が多すぎて機内での利用は無理そうです。
5)手荷物検査ではこれまでストマやパウチ関連品で何か尋ねられたりしたことはありません。健常者の人と同じく普通に何事も無く乗れます。
6)海外空港でもそれは基本的に変わりませんが、ハワイのホノルル空港だけは異常に厳しかったです。もはやゲート式の金属探知機なんて使っていません(置いてはありますが)。一人ずつブース式のエックス線検査機に乗って360度回されて精査されます。私の場合「お腹に変なものがついている」と認められたのでしょう。「こっちへ来い」と検査場内にある個室に連れて行かれ、ズボンを下げろと言われたのでパウチを見せて「I’m a Ostomate」と言ったところ検査官が無線でどこかと喋っています。多分このチェックもカメラでどこからか監視されているのでしょう。無線で二言三言会話してから「OK、行っていいよ」と言われて無事通過出来ました。ホノルルに限らず米国の国際空港はどこも今はこんな感じだとロスやサンフランシスコに行き慣れてる人に言われましたので、オストメイトは米国旅行で経験することと思います。なおその時の同行者(健常者)は首から下げたお守りが引っかかったようで、取り出して中を見せろと言われてました。
7)今はありがたいことに国内の国際空港レベルには大抵オストメイト用トイレが設置してあります。乗る前に排出ついでにパウチの面板の状況をチェックしましょう。ただし、上にも書いたように直前の貼り替えは危険もはらみますので注意して下さい。

以上、何か気が付いた事があれば追記していきます。

オストメイト(というか私)が旅行に持って行く必需品

別に私が全オストメイト(人口肛門保有者)を代表しているわけでもなんでもないのですが、私が旅行時に必ず持っていくもの、持って行ったら便利なものをまとめてみました。もちろん人によって異なると思いますし、私はオストメイトの大部分を占めるコロストミー(大腸人口肛門)では無くちょっと特殊なイレオストミー(小腸人口肛門)なのでその違いもあると思います。その点も踏まえてご参考にしていただければと。これからオストメイトの仲間になる方にも有益な情報になる事を願っています。

替えのパウチ

替えのパウチ
替えのパウチとリムーバー、パウダー
日帰りの時は1セットですが1泊以上の旅行時は必ず4~5セット持って行きます。

何は無くともこれは絶対に必要です。ただし、「自分は5日ローテーションなので、出発前日に貼り替えれば7日の旅行だから1枚持っていけばいいや」などとお考えのあなた。あま~い!とんでもなく甘いです。何故か旅行中は極端にパウチの持ちが悪くなります。立ったり座ったりなど粘着面への負担が多くなる事や、移動中座りっぱなしでお腹の皺が常時よってしまう事や、旅先でおいしい物を食べて消化液がガンガン出てくることなども関係しているのかもしれません。長持ちタイプのパウチでも1~2日で漏れが始まることがよくあります。
オストメイトなりたてのころ、名古屋で用事があったために自家用車で深夜高速に乗って向かい、名古屋直前のサービスエリアで車中泊したんです。もちろん出発前にパウチは交換済みです。しかし、寝る前に食べた激辛タンタンメンが悪かったのか翌朝漏れてしまいました。慌ててサービスエリアのオストメイト用トイレで替えのパウチに交換しました。一安心と思いきや、走り出した直後にお腹の辺りに生暖かい液体の感触が・・・。次のパーキングエリアで停めて確認するとやっぱり漏れていました。3日の旅行だったので替えのパウチはさっき交換した1枚しか持って行かなかったのです。まさか1日で2枚漏れるとは想定外でしたから。このままでは車から降りることができません。ましてや人に会う予定もあるのです。仕方なく次のインターで降り、Uターンして一旦自宅に戻ることになりました。その日の内にまた名古屋入りしないといけませんので、自宅でシャワーを浴びてパウチを貼りなおし、そしてまた高速に乗り名古屋へ向かい夜の10時過ぎに到着。東京~名古屋を1往復半ですから1000キロ以上を1日で走破し、えらい目にあいました。もちろん初日の予定はめちゃくちゃ。これ以来、数回パンクしても大丈夫なように、旅行には替えパウチを4~5セットは持って行きます。かなりかさ張るのですが安心にも繋がりますので仕方ありません。パウダーや剥がす時のリムーバーももちろんお出かけセットに入れています。

タオル

タオル
タオルも旅行では何枚か持って行きます。

これもパンクした時に押さえたり、パウチ交換時の洗浄に使ったり、非常に重要なので何枚か持って行きます。パウチと違って、旅先のホテルに着きさえすれば、洗って乾かして翌日も使えますので、数枚程度あれば大丈夫なことが多いです。
タオルもかさ張るので困りますね。足りなくなったらコンビニでも買えますから、荷物が入りきらない時は1枚だけ持参して後は現地調達でもいいかもしれません。

簡易ウォシュレット

簡易ウォシュレット
簡易ウォシュレット
伸ばすとこんな幹事。
シュピューラー
シュピューラーが正式名称のようです。

電動タイプも持っているのですが、この手動タイプを入手してからはこればかり使ってます。小さくてかさ張らないし、軽いし、その割に機能は電動と大して変わらないし。
肛門が無いのに何故必要かって? まあ以前は2孔ストマで肛門からの漏れもあったので必要と思って買ったのですが、1孔の永久ストマになった今でも手放せません。
オストメイト用トイレもずいぶん増えたといってもどこにでもある訳ではありません。ウォシュレットですら無いところも未だに結構あります。そういうところのトイレで、これに水を入れてストマの排出口から流し込み、パウチ内を洗浄するのです。特にイレオの人には消化液のアルカリ成分も水で流し出せるので有効です。何度か水を入れて排出を繰り返せば、ストマ周りについている便もきれいになってすっきりです。(ただし、脱臭フィルターの持ちは悪くなるので注意)
また、オストメイト用トイレやお風呂場以外で緊急にパウチ交換をしなければならない場合はこれでパウチを剥がした後を洗浄します。便や消化液をきれいに除去しないとすぐにそこから漏れ出しますので、旅先のパウチ交換は自宅よりずっと手間が掛かります。
洗浄時にはもう少し容量が欲しくなりますが、そうなったらペットボトルでいいのですから現地調達できます。500mlくらいのお水のペットボトルを買いましょう。

メディカルテープ(サージカルテープ)

3M ネクスケア マイクロポア メディカルテープ
3M ネクスケア マイクロポア メディカルテープ

便利グッズでも書きましたが、これも旅行には欠かせません。パウチが剥がれかけてきた補修に必要です。私は凸面板のパウチを使用しているので、面板の端が浮きやすいのです。そこから剥がれてきて漏れるパターンも多いので、旅行に出かける時は事前に面版の端を上下左右これを使ってがっちり肌に固定してしまいます。
漏れ始めた時に、これで最後の数分を稼いで助かった事も数度あります。
詳細は便利グッズのページをお読み下さい。

ハサミ

ハサミ
コロプラストのスターターキットに付いてきたハサミ

私はプレカットの面板しか使わないので本来必要無いのですが、メディカルテープのカットなどに使っているため持って行きます。しかもコロプラストのスターターキットに付いている先の曲がった面板カット用の奴。何故か使いやすいですし切れ味もいいので。面板を毎回切る必要のある方は、これが無いと話しにならないですよね。事前に必要数をカットして持っていくという手もありますけど。
なお、サイズにもよりますが飛行機移動の場合、機内持ち込み手荷物には危険物として入れられないと思いますのでご注意下さい。

アルケア脱臭フィルター

アルケアガスクリン
アルケアガスクリン

便利グッズにも書きました。イレオの場合、パウチのフィルターがすぐに駄目になってしまう(コンバテックは特に水分に弱い)ので必要でした。私はこれを1シート必ず携帯していて、ちょっとフィルタの効きが悪くなって臭い始めたなと思ったら、パウチ標準のフィルタは塞いでこれを貼り付けます。自家用車などは全然気にしないで済みますが、通勤電車やバスなど、他人との距離が近いと神経質になりがちな私としては精神的にも楽になれるグッズです。
詳細は便利グッズのページをお読み下さい。

ベッド用防水シート

防水シート
イレオなのでこれが無いと汚しそうで寝られません。

これはイレオストミー限定かもしれません。ホテルなどに泊まった時、ベッドでパウチがパンクした場合、水便で盛大に汚してしまいます。オストメイトになって以降、合計で30泊くらいはしてると思いますが、実際にパンクした事や汚してしまった事は一度も無いのです(自宅ではあります)。しかしもしもってのがありますから念のために敷いて寝ます。コロの人は漏れてもニョロ、ポトリですがイレオはジャーと出てしまいますからね。意外と掛け布団は無事です。だから敷布団やベッドマットを汚さない工夫が必要なのです。
以前は紙パンツを履いてパウチもその中に入れて寝ていたのですが、紙パンツは泊数によって数枚必要な事を考えると持ち物として1枚で済むこちらの方がかさ張らないので最近は専らこれにしています。自宅ベッドもこれを敷いて寝ています。セルヴァンと言うメーカーを使ってますが、1年ほど使うと端が丸まってくるのが難点。2年以上経つと洗濯で防水コーティングがボロボロと剥がれてきます。もう少し寿命が長いものを物色中。

障害者手帳

障害者手帳
旅行では何かと便利に使えます。障害者の権利でもあるので出し惜しみはしません。

外出時には必ず持って出ますが、旅先で何かと利用させていただいてます。これを見せると障害者料金で安くなるんですよね。フェリー等の交通機関や観光施設、事前にどこで使えるか調べておいた方がいいでしょう。ただし絶対に無くさないようにして下さいね。
高速道路の割引は、登録された自家用車のみなので、旅先で借りたレンタカーなどには適用されません。こないだそれを勘違いしていてちょっと恥をかきました^^;。

 

ひとまずこんなところでしょうかね? 便利なものが見つかったら順次追加していきます。

人口肛門と外出

不幸にして人口肛門「ストマ」になってしまった場合、もう人に会ったり、外出したりが非常に不便になると考えるのではないでしょうか? ましてや旅行などもう出来ないのではないかと失望してしまうかもしれません。それが手術を前にした場合、不安に駆られて悩んでる方もたくさんいるのかもしれません。実は私もそうでした。
しかし、断言します。自分でストマを管理できるようにさえなれば、旅行など(ストマの状況によって多少の制約はあるでしょうが)何も気に病むことなく可能です。ストマを持ちながら通勤し社会で活躍されている方もたくさんいます。ほとんどの方は比較的管理の楽な大腸人口肛門(コロストミー)ですが、私のような小腸人口肛門(イレオストミー)でも同様です。要は自分のストマの状態を把握して、様々な状況に対処できれば良いのです。それは決して難しい事ではありません。

さすがに初めてのストマ造設手術後一週間くらいで旅に出るような人はいないでしょうし、お勧めもできません。パウチの張り替えもまだおぼつかないでしょうし、どういう状況でどんな漏れ方があるかも自分で把握できていません。
まず、退院したら自宅療養の期間にパウチを定期的に交換出来るようにしましょう。私は1セットのパウチを6日で交換しています。パウチによって推奨される交換日数の目安があるはずなので、パンクさせずに毎回同じ日数で交換出来るようになりましょう。5日もったけど次は1日でパンク、その次は3日でパンクなんてのは駄目です。

ちゃんとローテーションが出来るようになる頃には、経験も増えてパンク処理も大分慣れてくる頃だと思います。まずいつでも自宅に戻れるような範囲で半日外出してみましょう。それで慣れてきたら次は1日外出です。ずっと自宅にこもりきりだと体力的にもきついと思います。できるだけ歩いてみましょう。
外でのパンクと言う自体にも遭遇するかもしれません。それは予め想定しておき、どう対処するかを決めておきましょう。交換用パウチやタオル、替えの下着は常時携帯しておきましょう。慣れるまでは紙パンツの方が気楽かもしれません。

コロの人はそれほど大きな問題は発生しないと思いますが、イレオの人は最初の内は食事を抜いて外出した方が楽かもしれません。私も初期の頃は外出時は食事抜きでした。ガスが溜まる事や排出の事を考えずに済みますから。イレオの人は食事後すぐに便とガスが出るピークが来ますから、その時にトイレで排出しなければなりません。
慣れてくれば自ずと食事と排出のタイミングが見えてくるので、その後の移動時間から逆算していつ食事をしてトイレに立てば良いかが判ってきます。

電車にも乗りましょう。さすがにラッシュ時の通勤電車は初心者にはお勧めできません。押されてパンクが怖いです。パウチ内にどのくらいガスが溜まっているかをちょくちょくチェックして下さい。脱臭フィルター付きパウチでも詰まってガスが抜けずにパンパンになってることがあります。フィルターのないパウチならなおさらです。私の経験した失敗に、レストランで友人との話しに夢中になり、ガスが溜まっていることを把握しながらもトイレに立つタイミングを先延ばしにしてパンクと言う事がありました。

自信が出来たら1泊旅行です。自家用車は何の心配も無いでしょう。ずっと座っていけてすぐにトイレにも立てる新幹線や特急列車などは楽なものです。少々ハードルは上がりますが、飛行機だって乗ることができます。JRも国内便旅客機も障害者割引がありますので、予め調べておいて下さい。
旅館やホテルに泊まることはなんてことはありません。ただパンクに対する備えは迷惑を掛けない為にもしておきましょう(特にイレオの人)。布団やベッドを駄目にするのは申し訳無いですから。個室のお風呂は全く問題無いですが、露天風呂にだって入れます。パウチむき出しだと知らない方にちょっとぎょっとされますし、ケースによってはこちらが不愉快な思いをすることもあるようです。私は目立たぬよう肌色の水泳用の腹巻(コンバテックで売ってます)をしますが、それで問題になったことはありません。その辺は今後書きましょう。
最終目標は海外旅行です。長期の旅行はそれなりに準備が必要ですし、結構荷物も多くなります。私はジャカルタ、台湾、ハワイと経験しましたが、備えさえしておけば、何の障害もありませんでした。
一番の障害は手術や入院、自宅療養でなまった体ですね。旅行は体力使いますから、それまでに体を鍛えておきましょう。
外出に必要なものや便利なグッズも今後ボチボチと書いていきます。

ストーマ維持管理に便利なグッズ(その2)

人口肛門(ストマ)を維持管理していくことにおいて、様々なアクセサリー製品が出ています。毎日常用して手放せなくなったものもあれば、ちょっと効果がよく判らないものもありました。それらも含めて私が買った物を今回もご紹介します。

アルケア ガスクリン

アルケア ガスクリン
アルケア ガスクリン
もう残り少ないので私も買い足さないと。アマゾンでも買えます。120枚入っている事を考えるとお得に感じます。

私はコンバテック バリケアナチュラ インビジクローズドレインパウチ(長い…)の愛用者です。これには脱臭フィルターが付いています。フィルター自体は結構強力で、あの鼻の曲がるようなイレオストミー(小腸人口肛門)の強い悪臭も気にならずにパウチからガスを抜いてくれます。しかしこのフィルター、水分にめっぽう弱いのです。お風呂に入ったりパウチを水で洗浄するのも原因のひとつ(でも清潔に保つためには不可欠)ですが、何よりイレオの水便ですぐ駄目になってしまいます。多分大腸人口肛門(コロオストミー)の人はこんな苦労は少ないんだろうなあとは思いますが、これが詰まると脱臭が効かなくなると共にガスが抜けなくなります。ガスが抜けないと排出しない限りパウチはどんどん膨らんできますので、トイレに行く余裕が無いとき(例えば飛行機とかバスとか)にはパンクの危険が高まります。
そんなときに見つけたのがこれです。アルケアのパウチは使っていませんが、さすが日本製品、かゆいところに手が届く便利グッズを出してました。使い方は簡単、パウチに小さな穴を開けて、このフィルターを上からぺたっと貼り付けるだけです。それが詰まったらまた新たな穴を開けて同様にすれば良いのです。私の場合パウチの耐久性も考えて、元のフィルター部分を千枚通しで穴を開けてそこに貼ります。
脱臭力もコンバテックパウチのフィルターと同程度ありますので、臭いは気になりません。ただやはりお風呂に入っちゃうと駄目になりますし、スポンジ部分が水を含んでしまうので、そこからパンツを濡らしてしまいます。剥がすのもきれいに剥がれないので、同じところに再度貼ることはできません(ただし2段3段と重ねて貼ることはできます)。1枚のフィルターは1日しかもたないと考えていいです。
私は数日経ったパウチで公共交通機関に乗るときなどの緊急用に使っています。

コンバテック純正保護シール

コンバテック フィルター保護シール
コンバテック フィルター保護シール

コンバテックのパウチについている脱臭フィルターは水ですぐ駄目になっちゃうと書きましたが、入浴時の対策用にフィルターを保護するシールがパウチに付属しています。何故か医療機関向けの製品には予めパウチに張り付いているのですが、一般向け製品では別にシートとして付属しています。箱のパウチの枚数(10枚)より大分多くシールが付いているので、緊急の穴ふさぎにも使えます。私は替えのパウチと共に常時持ち歩いています。ただこれを貼っちゃうとガスが抜けなくなるので、入浴が終わったら剥がしておかねばなりません。
付属物なのでパウチを買うともれなく付いてきます。

コロプラスト消臭潤滑剤デオール

コロプラスト消臭潤滑剤デオール
コロプラスト消臭潤滑剤デオール
ボトルタイプもありますが、飛行機内に持ち込めないのでこのタイプを買いました。1回分ずつパックになっています。

イレオの人は皆さん臭いには苦労していると思います。特に公共交通機関で他人との距離が近くなる場合は、「臭いがもれたら嫌だなあ」「ほんの少しでも気が付くだろうなあ」とかなり神経質になってしまいます。わたしも消臭についてはかなり深刻に色々試しました。
このコロプラストのデオールは基本的にコロオストミー用で、排出時に便が袋に張り付かずスムーズに全て出せるようにするオイル系の薬剤ですが、同時に脱臭剤でもあります。使い方はパウチ交換をした後に排出口から緩いゲル状のこれを入れて中で揉んでパウチ内に広げます。あとは普通にパウチを使うだけです。
しばらく使ってましたが、イレオの私にはあまり効果が感じられませんでした。水便で一緒にこれも流れ出てしまうんでしょうね。一旦パウチ内に便が付いてしまうと後から足して入れても効果は無いと思います。
コロプラストで出しているものなので、怪しい製品では無くちゃんと効果があるものでしょうが、あくまでコロ用の製品でイレオの人には向かないと感じました。結構残ってるんですよ。高かったのにもったいない。アマゾンなどでは売っていないので、コロプラスト製品を取り扱っている業者から買ってください。

ビーオーゼロ(B.O.-ZERO)

B.O.ZERO
B.O.ZERO

いわゆるサプリ系です。よく介護現場でこのようなものを飲ませて介護現場の排泄処理を楽にしていると聞くので、試しに買ってみました。アマゾンの評価は割りと高めなんですけどね。私には効果は薄かったです。これもイレオと言う事もあるのでしょうか? 健常者の普通の便だったら効くのかもしれませんね。
まあ一般に入手できるサプリ系の飲み薬は体にそれほど害はない代わりに効果もそれほど期待できないようです。ネットでこの手を調べても、効果は曖昧ですので気休め程度と考えた方がいいのかもしれません。商品説明にも「便臭が消える」とは決して書いて無いですしね。イレオの臭いはこれだけでどうにかなるものでも無いと思うので、他の対策と組み合わせてこれも飲んでみるといった使い方がいいと思います。

今回は脱臭・消臭系でまとめてみました。実は何故か今回のストマ再造設後はあまりトイレの臭いが気にならなくなったんですよ。家内に訊いても気にならなくなったと言ってます。何故か臭いが少なくなった模様です。
考えてみても、腸の長さはさほど変わっていないし、食べるものも退院後は元に戻っているので、何が作用してるのか不明です。ひとつだけ以前と違うのは、整腸剤(ラックビー)が処方されているので、もしかしたらそれかもしれません。怪しい消臭サプリ使うよりは毎日ヨーグルトでも食べて整腸剤処方してもらった方がいいのかもしれませんね。

ストーマ維持管理に便利なグッズ(その1)

もう人口肛門(ストマ)と付き合い始めてから10年近くになります。一時ストマからだと14年です。最初は色々難儀したものですが、ネットで見聞きした事や看護師さんのアドバイスなどで、様々なグッズを試してきました。ほとんど役に立たなかったものもありますが、中には今では手放せなくなったような優れものもあります。そういったものをいくつか紹介していきます。この記事がお気に召してアマゾンリンクからお買い上げいただけると私に数円くらいは入るかもしれません。そうなったらとっても嬉しいです。コンバテック製品は代理店から購入できます。ご利用の業者が取り扱っていれば、装具補助の対象製品として購入できると思います。

コンバテック バリケアパウダー

コンバテック バリケアパウダー
コンバテック バリケアパウダー

皮膚保護パウダーです。特に私のようなイレオストミー(小腸人口肛門)の場合、アルカリ性の刺激が非常に強いために、消化液に触れた皮膚がすぐに炎症を起こしてしまいます。
ですので、パウチの交換時にびらんになった部分にこのパウダーを振り掛けます。便の水分でパウダーはゲル状になり、傷んだ皮膚部分を保護してくれます。また、パウチ面版の穴は消化液によって徐々に溶けて広がってストマとの間に隙間が出来てしまいますが、そこにもこのパウダーを毎日詰めます。パウチの持ちがいくらか違うのではないかと思いますし、ひりひりするびらんの痛みも和らぎます。
以前はそれほど重要視していなかったのですが、看護師さんに色々教えられてから手放せなくなりました。結構大量にドバドバ使ってます。

3M キャビロン 皮膚用リムーバー

3M キャビロン 皮膚用リムーバー
3M キャビロン 皮膚用リムーバー

パウチの面板は結構な粘着力でお腹に張り付いています。これを剥がす時に皮膚を傷めてしまうケースが多いそうです。何度も繰り返すと炎症を起こしたりびらんができてしまったり、私のようなアレルギー持ちだと乾癬の様なアレルギー性皮膚炎にもなったりします。特にコンバテックのような強力な奴だと、普通に剥がしただけで皮膚が赤くなってしまいます。
リムーバーは液を面板と皮膚の間に垂らす事によって粘着力を弱め、皮膚にダメージを出来るだけ与えずにスムーズに面板を剥がす目的で使います。使った場合とそうでない場合は雲泥の差です。私も最初は使ってなかったのですが、病院で看護師さんが使っているのを見てから使い始めました。今までコンバテック純正とかいくつか試しましたが、これが一番強力で使いやすいです。端からポタポタ垂らしていくとスルスル剥がれます。剥がし終わったら石鹸水などでストマ周りをリムーバー液が残らないように洗浄しないと、パウチ面板の粘着力に影響しかねないので注意が必要です。

 

ニチバン 透明フィルムドレッシング カテリープFSロール

ニチバン 透明フィルムドレッシング カテリープFSロール
ニチバン 透明フィルムドレッシング カテリープFSロール
カテリープの使用例
カテリープの使用例
ずれてこないように、私はこんな感じで面板の端を固定しています。
あまり見た目のいい写真じゃないので拡大注意。

これは今回の手術後から使い始めました。私の場合、今回の手術後からストマに向かって5時の方向から漏れやすくなってしまいました。また、コンバテックの面板の布テープの部分は、お風呂に入ったりすると粘着力が弱まり、隙間が空いたり引っ張られて面板本体がお腹の曲線から浮いてきたりしますので、それをがっしり押さえつけておくようにテープで補強する必要が出てきました。
病院で入院中に、日東メディカルのパーミロールを貼ってもらっていましたが、本家は値段が高いので類似品のこれを使い始めました。ちょっと台紙から剥がれにくくて貼る時に失敗する事はありますが、一旦貼ってしまえば次のパウチの張り替え時までがっちりと固定できます。防水なので傷口の保護などにも役立ちます。

こちらは病院でよく使用されてる本家製品。
3M ネクスケア マイクロポア メディカルテープ

3M ネクスケア マイクロポア メディカルテープ
3M ネクスケア マイクロポア メディカルテープ
使いかけの写真で申し訳無いです。
メディカルテープ使用例
メディカルテープ使用例
まだまだ正中の縫合跡が生々しすぎるので、自主規制でモザイクかけてます。見た目のいい写真じゃないので拡大注意。

これは割りとストマライフの初期から使ってます。以前はコンバテックのダイレクト販売から買っていたのですが、それも無くなったし最近はアマゾンで買ってます。(特にオッサンの)お腹と言うのはまる~く膨らんでいるわけです。そこに平面のパウチの面板を貼り付けると、いくら柔軟性があるといっても端は浮こうとするわけです。特に私は凸面板なのでその力は強いです。そこでお風呂とかに入ると縁の粘着力が弱くなってそこから水が入り浮いてきちゃいます。一旦浮いてしまうとどんどんそこから面板が皮膚から剥がれてくるので持ちが悪くなります。そうならないために端を粘着力の強いテープで止めておく必要があります。こういう問題は痩せてる人や皮膚の状態がいい人にはあまり関係が無いのかなあ?
以前はこの3Mのメディカルテープを使って4辺を固定していました。特に旅行に行くなど交通機関を使う場合などは、立ったり座ったりでパウチに負担が掛かりますので、こういった製品で固定力を強めておく事で安心感にも繋がります。
今はニチバンのカテリープも使っていてそちらの方が強力なのですが、そちらは幅が広いために正中の縫合痕までかかってしまいます。ちょっとそれは抵抗があるので、外側はカテリープ、内側はマイクロポアと使い分けています。剥がれかけたパウチの緊急補修用にも常時携帯しています。剥がした後に縁の糊がちょっぴり黒く残るのが玉に瑕。WOCナースのUさんが使ってた日東のがよさげだったのでリサーチ中。

コンバテック バリケアペースト

コンバテック バリケアペースト
コンバテック バリケアペースト

人間のお腹ってのはどうしても座ると皺が寄ります。そこにパウチの面板を貼り付けるのですが、人によっては皺が深いことで隙間が空いてしまいそこから漏れてしまう事があります。そういう場合にこのペーストで皮膚をなだらかにしてからパウチの面板を貼り付ければ、漏れを防ぐことが出来ます。
実はこれ私は持ってますが使ったことがありません。私はそれほど皺が深くないのか、現在は凸面板のパウチだけで事足りています。しかし皺は年齢と共に深くなっていき、肌の乾燥と相まって私もこれが必要になる日が来ることでしょう。

 

このシリーズはまだ続きます。

ストーマパウチ雑感

闘病記も一段落してネタも尽きているので、その他の色々な人工肛門(ストマ)関連の小ネタを書いていきます。最初はパウチネタです。

人口肛門(ストマ、ストーマとも言う)は自分がその身になる前は漠然とお腹にプラスチックか何かの「蛇口」でも付くんだろうと思っていました。ところがどっこい。現実はもっとシンプルなものでした。
腸をちょん切ってお腹のところから外に出して縫い付けます。人口肛門とはそれを差します。良く出来たストマの場合、見た目は大きめの梅干そのものです。本当に梅干なので実際に見てびっくりして下さい。梅干の真ん中に穴が空いています。これが腸管そのものです。ちょん切った腸管の端をクルリンとひっくり返してお腹に縫い付けてるので梅干の表面は腸管の粘膜部分です。
大腸や直腸でちょん切るとコロストミー(通称コロ)、小腸部分で切るとイレオストミー(通称イレオ)と呼ばれます。私の場合イレオです。潰瘍性大腸炎で大腸全摘出を経てストマになった場合、ほぼ間違いなくイレオになります。直腸がんなどで肛門機能を失う場合はコロになることがほとんどでしょう。コロの場合、残ってる大腸の長さにもよるでしょうが、肛門から普通に出るような硬い便が出てきます。イレオの場合は大腸で行なわれる水分吸収が期待できないので、間違いなく水便になります。ただ水ならいいんですが、強烈なアルカリ性の消化液を含んでいるので、周りの皮膚がただれて結構厄介なのがイレオです。この他に尿管に造設する「ウロ(人口膀胱)」もありますが、知識も無いので今回は除外。

そのストマですが、そのままだと腸管がむき出して穴が空いてるだけなので、便は垂れ流しです。我慢したり、出にくいものを力を入れて排出させることは出来ません。勝手に出てくるのにお任せです。
便が垂れ流しだと非常に困ります。服は汚れるし臭いはきついし。特にイレオの臭いは非常にきついです。鼻が曲がるような臭いとはこのことだと思いました。
そのために便を受け止めるための「蓄便袋」が必要です。これが「ストマパウチ」です。「判ってる人たち」で話す時はストーマの「装具」とも言います。
昔は本当にただの袋をどうにかしてくくりつけてあるだけで、さぞや取り扱いは大変だったろうと思います。パウチは年々と進歩して、今ではストーマ生活者(オストメイトと言います)が日常生活する上ではさほど困らないレベルまできています。

パウチは世界でも数社しか作っていません。毎日使うものとしては結構高価ですが、自治体の補助が出るのでよっぽど漏れが激しく毎日変えるのでなければ自己負担(基本1割)はそれほど大きくありません。補助は自分で役所に行って申請する必要がありますので、市役所(区役所)の福祉課にでも行って相談しましょう。大体それも含めて病院でアドバイスしてくれると思いますけど。
ストマパウチは一品系(ワンピースタイプ)と二品系(ツーピースタイプ)があります。ワンピースはお腹に貼り付ける面板と袋が一体の物、ツーピースは別々です。価格はワンピースの方が安いのでガンガン取り替える場合はそちらの方がいいでしょうが、ツーピースは袋だけを取り外せるので、ストマの洗浄もできて管理が楽です。私は自宅ではツーピースしか使っていません。
私がこれまで使ったパウチはコロプラスト、コンバテック、アルケアの3社です。病院によってシステムが違うとは思いますが、私が行った病院ではストマ造設の手術をすると、サンプルとして各社のパウチをいくつかずつ貰えます。試してみて自分に合った装具を決めて下さいと言う事です。その3社を試してみて、独断勝手なレビューをしてみます。

コロプラスト

コロプラスト センシュラ2
コロプラスト センシュラ2
コロプラストはセンシュラミオに移行中のようで、もう廃盤になるのかな?
まだあと3セット残ってるけど使う日が来るかどうか・・・。

デンマークにある世界的なストーマ装具の会社です。私の行った病院(3院)ではどこもこれが第1選択でした。なんか看護師さんの信頼度は一番高そうです。
2002年の一時ストマの時はずっとこのメーカーを付けていました。数年前の造設手術と今年の再造設手術でも入院中はこれです。術後パウチから一品系(ワンピース)パウチを経て二品系(ツーピース)のセンシュラ2に落ち着きました。
コロプラストは基本的に自分で穴を切って貼るタイプが主流です。プレカットもありますが、微妙に穴サイズが合わないと余計なびらんが出来たりして厄介です。むしろこの自由度が病院のような万人に合わせる必要があるケースで有利なのかもしれません。
粘着面の品質が良くて皮膚に優しいとWOCナースのUさんの話。看護師としては皮膚が荒れるのが一番嫌だそうです。まあ交換時にいちいちケアをしなくちゃいけなくなるし漏れやすくなりますしねえ。
私としてはそれほど良い印象は無いんです。入院時はずっとこれだったということもあって、パンクはいつもこれな印象なのです。皮膚への粘着面が溶けて尽きると即漏れるというのも私としては怖いです。ツーピースの接合部にはロック機能があるのですが、トイレで前かがみになるとよく外れてました。脱臭フィルターは濡らしても詰まり難いです。でもこれは面板の溶けが早くて4日が限界だったかな。

コンバテック

コンバテック バリケアナチュラシリーズ
コンバテック バリケアナチュラシリーズ
シリーズの仲でも一番良い奴、デュラヘーシブナチュラMCフランジの面板とバリケアナチュラ インビジクローズドレインパウチをずっと使い続けています。高価なのが難点ですが、漏れも予測できますし、私にとって安心感は一番。

アメリカのブリストル・マイヤーズ系列の会社だそうです。サンプルを数種類試した上で、最終的にこれ(デュラヘーシブナチュラMCフランジ+バリケアナチュラインビジクローズドレインパウチ・・・なげえよ)に落ち着いて使い続けています。選択した最大の理由はとにかく長持ちだからです。最近サイトには書かれてないようだけど、最大で7日対応だった筈。私はこれを6日ローテーションで交換しています。また粘着面の外側に余白として布のシール面があるのもポイント高いです。粘着面が溶けて尽きてもまだ布部分で短時間こらえられます。そのギリギリで何度か助かった事があるので、私は一番信頼しています。
また、穴はプレカットのように見えますが、SMLとサイズが3種類あって、取り付け前にぐいぐいと広げてストマより穴を大きくして貼り付けると、後で縮んでストマの「首」をぎゅっと咥えるので水便でも粘着面の方へ行きにくくなっています。これによって持ちが大分違うと思います。
短所は高い事。10セットで17,530円。これを2ヶ月で消費するので補助ギリギリ、パンクさせたり旅行などで通常より早めのサイクルで交換したりすると自己負担分が別途発生します。また粘着性能が異様に高いので、剥がす時に気をつけないと皮膚の方を痛めてしまいかねません。リムーバーは必須です。脱臭フィルターが付いていますが、濡らすとすぐ詰まります。つまりイレオの水便ではフィルターがすぐに駄目になります。ガスの抜けが悪くパンパンになるとパンクしますので注意が必要です。水便にはなりにくいコロの人は関係無いかもしれません。
面板と袋のジョイント部はパコンと溝にはめ込むだけでロック機構もありませんが、これまで取り付けが不完全だった場合を除いてその部分で不具合を起こした事はありません。
今回の手術後、Mフランジ(面板が平面)のLサイズに替えたのですが、それだと漏れが発生したので、以前と同じMCフランジ(面板が凸面)に戻しました。以前は陥没ストマ対策で凸面だったのですが、今回は漏れ対策です。また、ストマがどんどん縮んできたのでサイズもMに戻しました。多分ずっとこれを使い続けると思います。

アルケア
ストーマ界で唯一の国産品です。日本製としての安心感があります。コンバテックのような布テープの余白が付いているタイプもあります。凸面板も選べます。付け心地もいいです。さすが日本製です。WOCナースは研修でアルケアの工場見学をするそうです(Uさんの話)。
選定でコンバテックとこれでずいぶん悩みました。自治体から補助を貰うにはまず業者を決めねばならないのです。最終的にカタログ上の最長の持ちが5日と言う事で、より長いコンバテックを私は選びましたが、アルケアもいいと思いました。
コンバテックのフィルターはすぐに役に立たなくなるので、アルケアの別付けのフィルターは愛用しています。
何年も前に2セット試しただけで、もうサンプルも持って無いので写真は無し。

今ではストーマ造設手術後にWOCナースがパウチの選定について適切にアドバイスしてくれると思います。本当は長期に十分テストしてからメーカーと製品を決めたいところですが、補助を貰うにはまず業者を決めて、そこから見積もりを役所に送ってもらわねばならないため、自費出費を出来るだけ抑えるには急がなければならないという問題があります。業者さんから貰えるサンプルも各社2セットくらいですし、十分に自分に合ったものを選択するには、担当WOCナースの経験を参考にするのもいいのかなと思います。

退院後2ヶ月経って

8月もまもなく終わり、私が退院してから7週間が過ぎました。2ヶ月には少し足りませんが現時点での状況を少し書いて置きたいと思います。

執刀していただいたH病院外科のKb先生の外来は、あの後1回行っただけで後は本来の主治医、M病院のK先生の元に戻る事になりました。先週3ヶ月ぶりにK先生の診察を受けてきましたが、「何か大変だったらしいね~」と笑ってました。いや~笑い事じゃないんですが・・・。
今回の血液検査で、2002年の大腸全摘出手術以来ずっと続いていたCRPの異常値が初めて正常値になりました。CRPは炎症反応を見る値なのですが、ずっと高いままだったのです。正常値は0.3以下なのですが、これまで1.0~0.6くらいをずっと彷徨っていた感じです。これが今回は0.19まで下がりました。
K先生にも原因はよく判らなかったようで、「Jパウチの炎症があるんじゃないかね~?」と言っていましたが、内視鏡検査でもよく判らなかったのです。今回Jパウチを切除して下がっているということは、やはりその辺が原因だったのかもしれません。とりあえず良かった良かった。
血液検査は栄養状態部分でマイナスの値がいくつか見られたものの、他は良好で安心しました。また来年GFとCF検査するそうです。CFなんてどうするんだろう? カンシで広げれば事足りるような気がする。

ストマの方は順調です。これも先週H病院のストーマ外来に2度目の通院をしてUナースに診てもらいました。横穴は完全に塞がり、ポケット部分もやや場所によって少し残っているものの、まもなくそれも塞がるとのことでした。
ストマの直径はもう3cmまで縮んでしまいました。このために退院直後にLサイズのパウチ(貼り付ける部分の穴の直径が違うのです)を購入したのに、またMサイズに戻さなければなりません。しかしそれもどちらかと言うと嬉しい誤算です。
Uさんといつものように雑談をしながらの楽しいパウチ交換は後もう1回で終了しそうです。きれいな女性と一緒にいられるのは愉快なのに残念です(<何言ってんだこいつと言われそう)。
私はコンバテックのパウチ愛用なのですが、入院中はせいぜい4日しか持たなかったプレート部も、今では手術前と同様に6日持つようになりました。これも回復の現れでしょう。

そうそう、入院中に病棟にはオストメイト用トイレが無く、「何で消化器病棟に無いんだよ~」と病院の意見箱に入れておいたのですが、今度付くようです。私の提言が採用されたそうです。Uさんが「ibdlifeさん、どれがいいの?」と訊いて来たので、「TOTOはコンパクトでデザインも良いんだけど、INAXのダサい方がお年寄りとかは普段使ってるお風呂の混合栓に近いのでいいんじゃないかなあ」と答えておきました。あとシャワーは必須と。
こういうことに対処が早いというのは、良い病院なのでしょう。私の意見が上がってすぐに経営会議で取り上げられたそうです。

今日は台風が来ていますが、関東は逸れて東北に向かった模様。仙台は実家があるのでそれなりに心配しています。針路に当たる皆様もご注意下さい。

そしてやっと退院-25年の闘病記終了

そして今自宅でこうやってブログを書いています。退院からまもなく2ヶ月が経とうとしています。あの後、再手術後3週目に状況は大きく好転しました。

正中の縫い目も今回は大事に大事に注意していたので、前回のようにじくじくする事も無くくっつきました。ちょっと引きつりが残りそうですが、特に裸になる予定も無いので醜くなければそんな事は気になりません。執刀医で入院中の主治医であったKb先生には「内部洗浄用のカテーテルが抜けたら退院」と言われていました。
心配なのはストマの具合ですが、Kb先生は「あとはUナースと相談の上」などとそれほど興味が無さそうです。外科医にとっては傷の癒えという「ハード」部分が大事で、自分の作ったストマの使い勝手がどうと言う「ソフト」部分には大して興味が無いのでしょうか? ストマが治る治らないに関わらずカテーテルが抜けたら退院と言う事のようです。

そのストマですが、Uナースの努力の甲斐あって徐々にですが順調に回復していました。穴はまだ確認できるものの便の横漏れはほぼ無くなり、全体的にストマも小さく締まって来ています。手術直後のストマの直径が4.5cmだったのが、今では3.5cmまで縮んでいます。周りの縫合が剥がれたポケットも大分浅くなっているようです。
ある日のストマ交換でUナースが、ストマの口に小指を突っ込んでまさぐりながら「あれ?塞がってるかも」と言いました。細い針をポケットの方にに差し込み、ストマの口から入れた指がそれに触れるかどうかで判断しています。
なんと言う安堵感。ここまで心が何度も折れそうになりながら頑張った甲斐がありました。本当に頑張ったのはUナースだけどね。
「これで退院しても自分でストマを管理できそうだね」
そう、これで後はお腹に刺さってるカテーテルが抜けるだけです。毎日2cmずつ短くしているのでそろそろの筈です。

七夕の日の昼食はニンジンがお星様のそうめん
七夕の日の昼食はニンジンがお星様のそうめん

7/7の朝の回診で、ちょっとお腹に力を入れたら「ちゅるん」と抜けちゃいました。看護師さんに「ibdlifeさん、今力入れたでしょう」とニヤニヤしながら言われましたが、抜けた事には変わりありません。その日担当の回診医に「頑張りましたね、退院ですね」と言われてちょっと泣きそうです。
後でKb先生が様子を見に来て、「じゃあいつでも退院していいですよ」「じゃあ土曜日でお願いします」と退院は7/9の土曜日に決まりました。

もう既に入院期間は1ヶ月を超えています。体力の衰えが心配ですが、病棟廊下を歩くのは楽すぎて体力回復に役立たないので、このところは階段を昇り降りして鍛えていました。初めて行なった日はワンフロア昇るだけで息が切れて倒れそうになっていましたが、もう既に1階~5階を2往復くらいはできるようになりました。ちょっと低血圧での立ち眩みはありますが、これは手術前からそうなのでそれほど心配はしていません。

七輪房の特盛りランチとユッケジャンスープ!
七輪房の特盛りランチとユッケジャンスープ!
食べ切れなかったorz

そして退院日、担当チームの看護師さんたちには感謝の言葉しかありません。再手術を告げられた日に手を握って励ましてくれたAさんありがとう。Mさん、あなたの夜勤の日ばかりパウチがパンクしたのに嫌な顔ひとつせず替えてくれてありがとう。みんな明るくて楽しい看護師さんばかりでした。
当日出勤の看護師さんたちに感謝の言葉を告げて、朝10時に会計に呼ばれて退院です。タクシーを呼んで一旦自宅に帰ります。退院当日に絶対やりたいことがありました。そう!焼肉を食べるのです!
久しぶりに自家用車で近くの焼肉店に直行! 病院では絶対に出ない焼肉を腹いっぱい食しました。長期入院で胃が縮んでいるためあまり量を食べられないのが恨めしい!

そしてこれでこの25年に渡る私の潰瘍性大腸炎から永久人口肛門になるまでの闘病記は終了です。長い長い話しにお付き合い下さりありがとうございました。今後は通院での状況や、これまでのストマ生活でのノウハウや四方山話を書いていこうと思います。

退院に少しずつ近づいている!

再手術から2週間、月も跨いで7月になってしまいました。ひとまず再手術前の一時帰宅で月越えのための仕事他様々な手続きはしてあったのでとりあえず大丈夫ですが、さらにもうひと月かかるなんて事になったらいったいどうすればいいのでしょう?

そんな中でも手術自体の回復はどんどん進み、体に残っている管は体内洗浄用のカテーテルのみです。毎朝の回診でこれに注射器を使って生理食塩水を体内の肛門の裏あたりに流し込むのですが、閉じてる筈の肛門からジャーと出てきます。このために回診時には紙おむつしてます。主治医のKb先生にも予想外だったらしく、「その内閉じる筈です」とは言うものの、そもそもここは最初の手術で処置した箇所なので、もう一ヶ月を迎えようとしているのにこれでは正直怖いです。腸管は肛門より4センチほど上でちょん切られているので、その先は丸っきりのお腹の中です。このままの状態が続くなら退院してお風呂にでも入ったら感染症が心配です。
そんな7月頭のある日、何故か注射器を押しても食塩水が肛門から出ませんでした。「そろそろくっついたのでしょう」とのことで、翌日から回診時にカテーテルを毎日2センチずつ短くしていく事になりました。やっとかと思うのもつかの間、翌日はまたジャーと出ました。その翌日はまた出ません。この頃がちょうど境目だったようです。その後は順調に2センチずつ詰めていきましたが、結構長いのですよ、この管。まだまだ取れるには掛かりそうです。

私にとって最大の問題なのは人口肛門(ストマ)の方です。手術の傷は時間が掛かるとしてもいずれ癒えます。しかしストマが不出来だった場合、それを管理維持するのは容易ではありません。ストマの口からだけでは無く、脇からもどんどん出てくるのですから、通常のストマパウチをぺたりと貼っても消化液が粘着部をすぐに溶かして漏れてしまいます。漏れたところの皮膚は消化液の強力なアルカリでやられてしまってびらんになるので、さらにそこから漏れやすくなる悪循環です。これがそのままだと自宅に戻されても家から一歩も出ることの出来ない状況が予想できます。
しかし、WOCナースのUさんの尽力で再手術後パンクは一度も無いと言う奇跡的な状況でした。パンク寸前だったのは一度だけあります。しかし衣服やベッドを汚すような状況はありませんでした。しかもパウチの交換も2日に1回と伸びてきました。再手術前の1日に2回以上も漏れて交換していたのと比べれば雲泥の差です。

いつものように外来の患者が終わった後(Uナースはストマ外来の責任者です)、5階病棟に上がってきて私のパウチを交換してくれます。交換は自分でも出来ますが、毎回ストマの状態をチェックして適切な処置を行うと言う理由で、パウチ交換は完全にお任せです。
「何か全体に大分くっついてきたよー」とUさん
「ほんと?!横穴ももうすぐふさがる?」と私
「それはまだだな」
がっくり・・・
しかし状況は徐々に好転しています。Uナースの処置が正しくこのままストマが正常な形に修復される事を祈るのみです。そしてそれはその方向に動いているように見えます。

なんと言っても食事を再開後、全て完食、しかもパウチのパンク無し! これは精神的に大きいです。エレンタールも終わりました。食事を普通に摂れるようになればかえって栄養過多になっちゃいますから。
ご飯もおかゆから通常の白米になりました。いつまでもおかゆなのでKb先生に「そろそろ硬いご飯にならないんでしょうか?」と尋ねたところ、「あ、そう?おかゆの方が食べやすいと思って」ですと!なんと主治医が止めてたとは!
即日普通のご飯になりました。
徐々に退院が見えてきました。あと一週間かな?と勝手に思っていましたけど。

手術からの回復ステップ

大きな手術は患者に大きな負担が掛かります。(家族にとってもそうですね)
手術直後は体中色々な管が刺さってますし、それに機器もつながってます。今回の私の場合、術後の排液を抜くドレーンの管が2本、内部洗浄用のカテーテルが1本、パウチから水便を溜める蓄便袋までのパイプ、首に刺さった中心静脈への点滴、背中に刺さった鎮痛剤(硬膜外麻酔)のチューブ、酸素マスク、心電図モニタのセンサー、足に巻かれた自動血圧測定器、足裏を押して血栓を防ぐ機械(IPCと言うらしい)、の10本前後の管やらコードやらが繋がっていました。今回の1回目の手術ではこれに鼻から胃に通す管もありました。
もしこれが生まれて初めての手術の場合、自身のこういう状況にショックを受けるかもしれません。まあ、患者自身は手術直後はそんなに自分を観察する余裕は無いかもしれませんが、家族は客観的にその状態を見るわけですのでさらにショックだろうと思います。家内も最初の時はかなりショックだったと言ってました。

そこからの回復はすぐに目に見えるものと、体に実感として伝わるものがあります。目に見えるのは体に一杯刺さった管やコードが日に日に少なくなっていくことですね。
私の場合、まず手術翌日に血圧測定器、IPC、酸素マスク、心電図モニタは取れました。3日目に背中の鎮痛剤のチューブが抜けました。中心静脈点滴の管は10日くらいでしたかね。そこからさらに数日でドレーンが抜けました。ドレーンは出て来る排液が無くなれば抜いてくれます。イレオ(小腸用)パウチ用外部蓄便袋が外されて、単独のパウチになったのもこの頃でした。最後まで残ったのが内部洗浄用のカテーテルでした。一週間目くらいから朝の回診時に少しずつ切り詰めることになって、それが抜けたら退院と言う事になりました。
これらがひとつひとつ抜けるごとにほっとします。またそれにより退院への希望が沸いて来るのです。この期間は個人差が結構有ると思いますが、通常の開腹手術だと2週間程度が退院までの目安だと思います。私の今回の1回目手術の予定もそうでした。再手術はこれまで書いた通り色々有りすぎて、普通の人より時間が掛かりましたね。

体に実感として判る回復というと、まず最初に「歩ける!」です。早い人は手術翌日にスタスタ歩いちゃいます。何日も低血圧で立てなかった私からは、とてもうらやましかったです。最初は担当の理学療法士がコントロールして距離を抑えますが、数日立てば「リハビリ時間外にも自分でたくさん歩いて下さい」と指示されます。なので病棟の廊下はいつも「自主トレ」の患者がぞろぞろと歩いています。見舞いに来た人からはちょっと変に見えるかもしれません。
次に食事が始まります。腸管を切っちゃった人は数日かかりますが、大抵4~5日問題が無ければ流動食から始まるはずです。それが一部粥になり三分粥になり、五分粥になり全粥になって常食になります。硬いお米になったときは嬉しいですよ。腸閉塞に途中でなっちゃったらまた止まっちゃいますからね。
食事って言うのは具合が悪いと全然食べられないものです。精神的な要素も重要だと今回の入院で実感しました。まず具合が悪いと一口でもういいやってなりますし、気分が落ち込んでいてもそうです。だから出て来たものを完食できるって言うのは患者自身にも勇気を与えます。看護師さんたちにもとっても喜んでもらえます。通常食事が始まって完食できるようなら点滴が抜けます。早く点滴を抜きたいなら一生懸命ご飯を食べることです。それによって退院も早まります。

この両方が最終段階になったら主治医が「では退院はいつにしましょうか?」と尋ねるのです。最初に決めておいても私のようにスケジュール通りに行くとは限りません。前回の一時ストマ造設の時は2週間の予定が10日で退院できたり、回復状況によって全然違います。また退院も数日前からなんとなくは判っていても患者によっては「じゃあ明日退院ね」とか急に決まりますから仕事のスケジュール調整に大変です。今回入院している間、そんな人が何人もいて奥さんに「明日退院だからお金持ってきてー」と電話(病室内は携帯禁止ですが、重病人もいないので割とルーズでした)でやっていました。もちろん「いや都合で明後日に」とかは可能な筈です。私の場合、「明日以降いつでも退院していいから師長さんと相談して」でした。

一週間ぶりに食事始まる

再手術から7日目の金曜日、回診のKb先生が言いました。
「明日から食事始めましょうか」
この一週間ずっと、首から中心静脈に入れている高カロリー輸液(エルネオパ)とエレンタールだけです。それだけでも一日2千キロカロリーほど摂れているはずです。歩き始めているから体力も徐々に回復してきました。もう病棟の端から端まで75mを2往復、300mくらいは楽勝で歩けます。
ただ、再手術前に毎日数回ずつストマパウチが漏れるという状況だったので、その後遺症と言うかトラウマが残っていたのでいささか心配です。再手術後はUナースの尽力もあって全くパンクはしていないのですが、もう少しストマの状態が良くなって来るまで食事を待ちたいのが本音です。
「でも食事を始めないといつまでも点滴が抜けないですよ」
そうなんですよね、食事を取らないということはこのわずらわしい首の針を抜く事ができません。まだ腕の点滴なら楽なのですが、このIVH(中心静脈栄養)は感染症に気を使うし、首に管付いていると言うのはわずらわしいし、ここ数日かゆくなってきたしでそろそろ負担になりつつあります。

最初の食事はうどん
最初の食事はうどん

そんな訳でちょうど一週間目の土曜日から食事が開始になりました。「またあの糞不味い三分粥食べにゃならんかー」と戦々恐々としていたのですが、なんと今回はいきなり全粥からのスタートでした。再手術では腸管もストマも手を付けていないので問題無いそうです。
最初の食事、土曜日の昼は恒例のうどんです。先週の土曜日は手術でしたし、先々週はパウチのパンクが怖くてとても食べられる精神状態ではありませんでした。麺好きの私としてはありがたいうどんをやっと食べることができます。そんなところに担当のMナース。
「あれ、ibdlifeさん、天ぷら付いてないの?」
「え~?天ぷら付いてるのぉ~?」
「あ、低残査か、ごめんごめん、付いてないわ」
全く余計な事を。でも私この看護師さんが大好きです。(不貞な意味じゃないよ!)

食事が始まってもすぐにはIVHの針は抜けません。エルネオパ2000mlとエレンタール1本、それに食事も開始されるとなると3500kcalを優に超える筈で、ちょっと多すぎます。
そういえば、IVHをやっている最中は毎日3回、血糖値を計ります。血糖値が150を超えるとインシュリンを打たれてしまいます。私は糖尿の気は全く無かったのですが、このところ夜に血糖値が上がってインシュリンを打たれてしまっていました。午前、午後、夜と3回計るのですが、何故か夜だけリミットを越えるのです。さすがにこんなにインシュリンを打っていたら、これまでその気配も無かったのに糖尿になってしまいかねないと素人考えしていました。だいいち低血糖になってぶっ倒れちゃわないのかな?
何故夜だけ血糖値が上がるのか、自分の行動パターンをよーく考えてやっと判りました。私は消灯前にジュースを飲むのです。喉が乾くのと自主的にビタミンCの補給。しかしジュースには大量の糖分が。そう、たぶんそれが原因で10時の血糖値が跳ね上がってしまうのです。
試しに数日ジュースをやめてみたら・・・。ビンゴ! やっぱり血糖値は正常値でした。もし同様に非糖尿で血糖値測定をしている方、測定前のジュースは慎みましょう。

七夕のそうめん
七夕の日もそうめんでした。にんじんが星型です。それだけですけどね(笑。

さてカロリー摂りすぎの私ですが、翌週火曜日にやっとIVHを抜きました。入れる時は30分くらい大作業でしたが、抜く時は5分くらいでさっと抜けました。痛いかと思って目を瞑ってましたが、自分でも気が付かないくらいにあっさりと抜けました。いやー楽だ! しかもこの後腕に点滴入れられるかと思ったらそれも無し! 全くのフリー状態です。点滴棒とおさらば。あとは食事を毎完食して栄養状態の数値を上げるだけです。それでストマが治れば退院です。

あ、まだその他にお腹に管刺さってた。残念。