手術後はICUで一泊

「ibdlifeさん!わかりますかー?終わりましたよー!」
麻酔が覚めていつものように手術終了です。今回も事故も無く無事に目が覚めました。何千分の一くらいのリスクはあるので、回数をこなすといつかそのリスクに当たる気がします。気が付くとベッドに載せられてガラガラ移動していました。心なしか前回より体も大分楽な感じです。
今回は確実にICUに入ることになっています。前回もその予定でしたが、H病院は救急指定病院でもあるので、限りあるICUのベッドは重症者や緊急患者優先です。前回は満床か他に優先すべき患者がいたために、ICUに入らず直接病室に戻ったようです。しかし今回は必ずICUに入れるようにKb先生がオーダーしてあります。前回の予後不良(実質手術失敗なのですが医師は決してそんなことは認めません)はKb先生にも堪えているようで、今回は出来るだけの手を打つようです。

ICUは手術室と同じフロアの反対側にありました。ここには初めて入ります。中はイメージしていたICUとは違いました。無菌室みたいな医療機器以外何も無いガラス張りの部屋を想像していたのですが、実際はナースステーションのような広い事務室の壁際に数台ベッドが並べられているような場所でした。廊下から患者家族が覗けるようなガラスの窓もありませんでした。
入ると、担当看護師が挨拶してきました。ICUは患者一人に看護師が一人ずつ担当に付きます。さすがよく訓練されているようで、病棟看護師のようなフレンドリーさはありません。もっともここに入る患者は皆生きるか死ぬかの切羽詰った人ばかりなので、就業時間のすべてが真剣勝負です。病棟看護師のように患者と軽口を言い合って笑っているような余裕はありません。(とは言え私は病棟のあの感じは大好きです)

まず担当看護師に時間を尋ねました。午後3時半でした。手術開始がお昼くらいでしたので3時間ちょっとの手術時間です。前回の半分ですから「手術時間に比例して体が辛い説」を唱えている私的にも大分体が楽なのが納得できます。
すぐに家内が入ってきました。白衣とか帽子とか特別なものは何もつけずに普段のままです。既にKb先生の術後の説明を受けたようで、手術自体は上手く行ったけれど、ストマの再造設は癒着が酷くて腸が動かせなかったため断念したと聞かされました。まーそんな事だろうと思っていました。それほどガッカリはしません。「出来ない可能性」を事前に聞かされるということは、ほぼ無理だと暗に言われたようなものです。まあ、その事は事前にUナースと大分突き詰めて話し合ったので、Bプランもありましたし、それはそれで仕方ないと思っています。

ICUですので家族と言えど長時間いる事はできません。数分話したら今日は帰ってもらいます。どうせ明日病棟に戻りますしね。
少し落ち着いたら周りを見渡してみました。やはり今回は心も体も余裕があります。ICUのベッドは6台ほど、そこに私を含めて現在4人の患者が入っているようです。ベッドの間はカーテンで仕切られているので、お互いどんな状態なのかは判りません。ただ、私以外は皆さん重篤のようです。私のような雑魚患者がICUに来て申し訳ないです。

担当看護師さんは付きっ切りではありませんが、30分毎にバイタル(体温、血圧、心拍数)を計りに来ます。それ以外は机に座って事務仕事をするか、患者の薬の用意や処置が終わった器具の片付けなどをしています。患者数に対して看護師数が多いので、病棟看護師ほど忙しいようには見えませんが、決して間違うことが出来ないストレスもあるでしょうから大変なのでしょう。
夜もずっとそのペースでベッドサイドに看護師が来ます。体が楽とは言え、やはり手術当日はなかなか眠るのは難しいです。ICUですし、両側の患者は私よりずっと大変な状況(一人の方は手術後三日間まだ目が覚めないとか)ですから、そちらは機械がピーピーなったり、痛くて唸っていたり、容態が悪化して当直医師が出たり入ったり、結構騒々しいです。多分私の担当看護師が一番楽だったでしょう。もちろん手が足りない時はその場にいる看護師が担当関係なく協力し合います。
ちなみに今回は手術後すぐ「水分OK」になりました。ストマの作り直しも無かったので、腸管はまったく無関係の手術だったのです。よって麻酔が完全に抜けた段階(夜の8時だったかな?)でお水が飲めました。前回は一晩口が渇いて苦しかったので、その点楽です。担当看護師がいるので、「欲しい」と言えばすぐにお水を貰えます。病棟のようにナースコールを押して30分も待たされるなんてこともありません。あ、そうそう、今回は鼻から胃に通す管も手術室から出る時には既に抜けていました。あれはいつも苦しくて大嫌いなので幸いでした。

今回も長い夜でしたが、2時間ほどは眠れた気がします。体調的にはまずまずです。背中に入ってる管に鎮痛剤を流し込むボタンが付いていて、痛くなったら自分でボタンを押します。一応連続して押せないような仕組みが付いていますが、私はそれほど痛みを感じていませんでしたので押しませんでした。押さなくとも自動的に少しずつ鎮痛剤が流れていくようになっているそうです。
朝になると事前に渡してあった歯ブラシを看護師が持ってきて「歯磨き」をさせられます。8時頃になると看護師が続々と「出勤」してきて、ICUも10人くらいの看護師が忙しく歩き回っています。目の前が「ナースステーション」なので、朝の引継ぎとか目の前で行なわれます。

9時頃に夜勤から日勤に看護師が替わります。目の前で引継ぎをやっていたので既に知っていましたが、私の担当は男性の看護師になりました。なんだろう?このガッカリ感は^^;。
担当替わりの挨拶の後、体の洗浄をしてくれました。素っ裸になるのに男性看護師の方が気を使わないと見る向きもありますが、私は女性の方がいいですね。飲水OKと言う事もありますので薬も飲み始めます。でもお水はぬるい水道水目の前で汲んでこられるっていうのもなあ。出来れば冷えたウォーターサーバーの水とかならんもんですかね。

朝の回診でKb先生が来ました。ここで腹帯を開いて初めて患部を見ます。ストマはそのまま、ドレーンは2本が吸い上げるパック袋(調べて初めて知ったけど「サクションリザーバー」と言うらしい)に繋がっています。1本は腹から5センチほど突き出してクリップで閉じられています。正中の縫い目、今回は縫わずに透明フィルムで塞がれているだけです。いわゆる開放法という奴でしょう。前回ピンがいくつか飛んでしまった事への対処だと思います。
Kb先生がドレーンのクリップを外して、生理食塩水の入った注射器を管に差し込み水を押し込みます。するとお尻の内側に何か入ってくる感触がした後、それがお尻からジャーと出て行きました。もちろん現在紙オムツしてますからね。
私が「お尻から出てきました」というと、先生は意外そうに「あ、出ました? う~ん」とか考え込んでいます。私の体は大丈夫なのでしょうか? 「まだちゃんと塞がってないのだろうけど、段々塞がります。」と言われたけど、ちょっと心配です。

回診が終わると、「じゃあ体起こしましょうね」と言われてベッドを起こします。最初は30度くらい、大丈夫なら徐々に上げます。私は今回はそれほど貧血にならず90度(とは言っても枕が落ちてこないからせいぜい70度くらい?)近くまで起こして「そのまま頑張ってみて下さい」と30分ほど放置。もちろん具合が悪くなったら言えばすぐ戻してくれるのですが、今回は全然平気。しかし、テレビがあるわけでもない、本を読むわけでもない、寝られるわけでもない、ベッドを起こして30分ボーっとしてるのも辛いなあ。

お昼前になると、「それでは病棟に帰りましょう」となりました。ICU1泊もこれにて終了です。大体どういうところか知れてよかったけど、多分病院によって違うんだろうな。テレビで見たICUと全然イメージ違うし。
しかし、ICUのベッドはふかふかで病棟のとは別物です。寝心地もいいです。このまま病棟もこのベッドのまま帰りたいです。病棟から私の担当チームのNナースと助手さんが二人で迎えに来ました。病棟のベッドを押してきて。がっかりです。これをICUのベッドの横に並べて、私がごろんと移動して乗り換えます。あとは病室まで押していってもらいます。

投稿者: ibdlife

潰瘍性大腸炎を20代で発病しましたが、既に私も50代。思えば長々とこの病気と付き合ってきたものです。まあ大病しても人生どうにかなるものです。絶望したらそこで終わり、気楽に生きましょう。 人工肛門ですが、旅行好きです。一人でどこへでも行けます。飛行機に乗って海外にも行けますよ!

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