そんな訳で、複雑痔ろうの根治手術を行なうためにM病院に入院しました。術式は「括約筋温存手術(くりぬき法)」、入院期間は10日ほどの予定です。くりぬき法とは痔ろうのトンネル(ろう管)を拡張してくりぬき、肉が盛り上がって穴を塞げば完治という手法です。括約筋を切らないので、肛門機能には影響が無いとの事ですが、再発率も高く何度か繰り返す場合もあるようです。
私の場合、そもそも肛門機能が怪しいので、少しでも今の状態を悪くはしたくないため、この術式を選択するより仕方ありませんでした。
執刀は主治医のK先生では無く、外科のA先生が行ないます。K先生は「もう老眼で目が見えないから手術しないよー」なんて言っています。最近はちょっとえらくなっている(副院長だって)ので、管理職としての仕事も忙しいのかもしれません。外来と内視鏡で手一杯との事です。
A先生は私より少し若く、細身で知的な感じです。(K先生がメタボでややべらんめえなのと対照的ですが)クールな見かけと裏腹に人当たりがよく、ちゃんと患者の話を最後まで聞いてくれますし、対応も早いので安心出来ました。(K先生がお願いした事をすぐ忘れちゃうのを批判している訳ではありませんよ^^;)
手術当日、今回は全身麻酔では無く半身麻酔で行なわれます。手術台の上で背中を丸めて背骨に針を入れられて少しすると下半身の間隔が無くなります。足の指を触られて判らなくなったら手術開始です。通常の半身麻酔なら患者の意識があるまま手術が進められます。
私は安定剤も打たれていたので半分寝ていてあまり記憶が無いのですが、分娩台のように両足を広げて仰向けで手術を受けた気がします。手術自体は1時間程度で終わったと思います。
半身麻酔は後で酷い頭痛になることが多いのであまり好きではありませんが、半日過ぎれば動けるようになります。水もすぐ飲めますが、患部の温存のため食事はなかなか始まりませんでした。便が患部を汚してしまうからです。しかし、私の場合肛門が緩くてポタポタと漏れているのであまり意味が無かったような・・・。
毎朝の回診で先生(しかも副担当の医師は割と若い女医さん)たちと看護師さんに便で汚れた股間を見せるのは恥ずかしくて苦痛でした。
術後数日すると、危惧していた通りあまり状況は良くない事が判ってきました。掘った部分からも便が流れ出てくるのでこのまま再びろう管化してしまう可能性が高くなってきました。すぐ再手術というわけにも行かないので、ひとまず食事を再開し、退院して今後を検討することになりました。
括約筋温存手術は専門医でも大変難しい手術だそうです。この分野は大病院より定評ある専門医に行った方がいいのかもしれません。そのまま当初の予定通り退院になりました。
退院後、数週間するとやはり再痔ろう化してしまいました。血膿が溜まり押せばプシュッと噴出してきます。さらに「おなら」も痔ろうの方から出てくるようになりました。しかもそれが激痛を伴うのです。
既に大腸全摘出から数年経過していますが、ちっとも楽になりません。これだけ排便に苦痛を伴うのなら、自然排便は諦めて人工肛門の方が楽ではないだろうか? と考え始めるようになりました。