2孔ストマの便漏れと戦いながら数年が過ぎました。陥没はさらに進み、便量の1割くらいは肛門から漏れているのではないかと思います。水便がダラダラお尻を汚す事もしばしばですし、Jパウチで水分の抜けた硬い便がなかなか出ずに浣腸で流し出す事もありました。切開の後遺症で括約筋が弱り、我慢する事も便を押し出す事も出来なくなっているのです。
幸いにして痔ろうはその後完治し再発もありません。この点では満足していますが、肛門機能をほぼ失ってしまったのでもうストマを閉鎖する事は無理でしょう。一生ストマ生活を続けねばなりません。ストマ自体は2孔ですが、実質永久ストマと変わりなくなってしまいました。しかもお尻の便漏れ付きです。
このために主治医のK先生と相談して障害者手帳を取得する事にしました。
これは要件さえ満たしていれば比較的簡単です。指定医(大抵の総合病院なら大丈夫)に診断書を書いてもらい、自治体に申請すれば通ります。一ヶ月ほどで手帳を貰えます。要件を満たしていればですが。問題は年金の方です。
人口肛門だと国民年金では障害年金は出ませんが、厚生年金は出ます。この点多少調べたのですが、私の場合ストマ造設が会社を辞めて個人事業を始めた後だったので、ずっと出ないものだと思い込んでいました。
ところがある時ネットで調べ物をしている時に偶然見つけた情報で発見したのです。実はストマ造設時が重要では無く、ストマが必要になる「元になった病気の初診日」こそが重要だったのです。つまりストマ造設時に厚生年金を辞めていたとしても、元の病気の初診日に厚生年金に加入していれば障害年金は出るのです。私の場合、潰瘍性大腸炎として確定診断を受けた日こそがその日なのです。
真偽を確かめに管轄の年金事務所に行きました。はい、間違いないです。ただし、手続きは結構大変でしかも審査を受けて承認されなければなりません。ネットの情報を見るとこの審査はかなり厳しく、条件を満たしていても落ちるケースもあるようです。
山ほど書類を用意しなければなりません。問題になったのが初診病院の証明書です。その年月日に初診があった証明をしてもらわねばなりません。確定診断を受けたH病院に行って相談しましたが、既に20年近く前の事になり、しかもその後電子カルテ化などの大きな変化があったこともあり、カルテ情報が残ってないと言うのです。法的なカルテの保存期間は5年なので、それ以前の事については病院に保管義務は無いのです。しかし、H病院は調査してみると言う事でこの件は一旦保留になりました。門前払いにはなりませんでしたが、病院の書類が無いと無理かもしれません。
次は自分で書く申請書類ですが、これまでの経過を詳しく書かねばなりません。実はここで落とされるケースがよくあるそうです。出来るだけ経過を詳しく、また今の状態を正確に(ただし「如何に現在の自分に年金の助けが必要かどうか」も含めて)書く必要があります。何度か下書きをしてぎっしり詰め込むように細かく書き込みました。
現状の診断書も必要です。これは障害者手帳のように指定医はありません。ストマの執刀医に書いてもらう必要があります。私の場合A先生です。こちらもある程度先生に嘘にならない範囲で障害を強調するなど言い含めておく必要がありそうです。私の場合2孔の一時ストマであっても既に肛門機能の問題で戻せないという事を強調してもらう必要があるのです。普通の一時ストマは支給要件を満たしません。
その他、戸籍謄本等自分で必要な書類を揃えてH病院の結果を待ちました。
2週間ほど経ち、H病院から「用意できる」との連絡を貰いました。通院の情報が残っていたのと確定診断をしたO先生がまだ在籍しているので、書いて下さったそうです。
さあ書類は揃いました。年金事務所に書類を提出します。審査には2~3ヶ月掛かります。私は全て自分で行ないましたが、あまりに用意するものが多く、また書くのも大変なため、社労士に依頼する事もできます。私は社労士に依頼するという発想自体が無かったため自分で行ないましたが(笑。
その後、なかなか来なくてハラハラしましたが、無事認定され受給が始まりました。額としては年間80万円に満たず、これだけで生活していくのは無理ですが、外で働き難いオストメイトにとってはありがたいお金です。
なお、障害年金はストマを作ってから数年後に申請しましたが、それを遡ってお金が出ることはありません。あくまで申請後から受給が始まります。また、障害者手帳も障害年金も更新手続きがあります。難病医療券ほど面倒な手続きではありませんが、受給要件を満たさなくなれば切られてしまいますのでご注意を。